勤めてはいけない図書館

意外と知られていないのだが

公共施設の管理や運営は

自治体ではなく

自治体が指定した民間企業が行っていることが多い。

図書館で働いていた頃、

一度だけそういった民間企業の契約社員をしていたことがある。

図書館司書の求人に応募したのだが

採用されたのは一般にも開放されている資料室。

歓迎の宴で社長は

「図書館司書の求人と嘘ついてごめんね」と言った。

仕事は年度初めからスタート、

GW明けに突然責任者が辞めた。

「名前だけ責任者になって」と社長に言われ、

私は責任者になった。

業務の引き継ぎは一切なく

自治体と契約している業務の一覧を書面で渡されただけだった。

契約社員と言っても

時給換算したらアルバイト並みの給与だったので、

本当に言われただけの仕事をした。

そして、試用期間が終わる2週間ほど前。

このままでは継続雇用できない

という主旨のことを言われた。

ある業務を自治体の職員にやらせた

(身長が届かなかったので、気を利かせた職員がやってくれた)

報告、連絡、相談ができていない

(日報は提出しており、判断に困るようなことは何もなかった)

業務に対する提案がない

(そもそも提案を求められたことはない)

他にも細かな理由をいろいろ言われたけれど、

どれも私にはピンと来なかった。

自分から責任者を志願したわけではなく

名前だけ責任者になったのだ。

話がちがうじゃないか。

社長の本音と建前はちがっていたらしい。

最初からこの職場は1年限りで辞めるつもりだった。

仕事をしながら通っていた学校を

翌春に卒業する予定だったので、

給与の安いこの会社には

本当に一時的なアルバイトのつもりで入ったのだ。

当時はまったく思いもつかなかったが、

仕事はしっかりしてもらうが、安月給の

ブラック企業 だったのだろう。

私はすぐに転職活動を開始した。

社内規定には同業他社への転職を禁止する事項があったけれど、

かまっている場合じゃなかった。

就業中にもこっそり派遣会社と連絡を取り合ったり、

会社のPCでエントリーもした。

そのことが会社にバレたのだと思う。

試用期間が終わる日。

社長が直接職場に来て、

「明日からもう来なくていい」と

告げた。

まるでドラマのようだった。

法的には支払わなければいけない

解雇予告手当も支払えない。

その代わり、退職理由を自己都合ではなく

解雇 にするので

すぐに失業手当が出る。

という説明もあった。

そして、吐き捨てるように言われたことばが忘れられない。

「今まで周りの大人に助けられて来なかったんだろう」

?????

今でも、意味がわかりません。

何を根拠にそんなことが言えたのだろうか。

しかも、子ども扱いの上から目線。

失礼にもほどがある。

転職活動をスタートしていたおかげで、

解雇通告から10日後、次の仕事が決まった。

おかげで、私はこのことを引きずらないで済んだ。

しかし、その2年後。

この会社は別件の不当解雇で訴えられ、

図書館業界の話題になった。

結果は和解金の支払いによる解決。

会社は私に払う解雇予告手当をケチることには成功したが、

神様はちゃんと見ていて

大きなツケが回ってきたのだと思った。

そして、この自治体では

また別の企業が運営する図書館で雇い止め事件が発生している…

もし、非正規雇用でもいいから図書館に勤めたい。

そう思うのならば、

民間企業の求人は避けた方がいい。

ワーキングプアになるうえ、

理不尽なことで解雇されるリスクが高いから。

そして、

図書館のことには疎い他業種の企業が

お金もうけで業務を請け負っていることが多く、

スタッフへの指導、教育がきちんとできない。

つまり、

勤めてもスキルアップにつながりにくいから。

図書館の仕事を探すなら、

派遣の求人がおすすめ。

比較的時給が高いし、

あいだに派遣会社が入ることでトラブルになりにくい。

ただ、派遣会社も得手不得手があるので、

エントリー時の対応もしっかり見きわめた方がいい。

図書館業務の求人に慣れていない会社だと

対応がまずいこともある。

ちなみに

図書館業務での案件の多い某社は対応がまずく、

退職時に有給休暇を消化させてもらえなかった。

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